株式会社Smart Opinion(本社:東京都港区、代表取締役社長:山並 憲司)は、乳癌超音波画像AI診断支援ソフトウェア「スマートオピニオン METIS Eye」の製造販売承認(薬事承認)を取得したことを発表しました。
日本では、近年、乳がんの罹患者は急激に増加し、現在は女性の9人に1人が罹ると言われています。40代になると急に罹患率が増えるのが特徴で、女性活躍社会を目指す日本において、対峙すべき大きな社会課題の一つとなっています。乳がんは、早期に発見できると完治の可能性や生存率が極めて高い疾病ですが、ステージ2以上になると生存率が下がってしまうため、早期発見のための乳がん検診が重要とされています。しかし、日本の乳がん検診率は45%と欧米諸国の70-80%に比べて低く、乳がんによる死亡率は年々上昇しています。
乳がん検診は、触診やマンモグラフィ検査が推奨されていますが、浸潤癌(腫瘤)を検出するにはマンモグラフィ検査よりもエコー検査(超音波検査)の方が優れています。特に若い人に極めて多い高濃度乳腺(デンスブレスト)の場合でも、エコー検査では感度を落とすことなく検査ができるため、4割の自治体が自主的にエコー検査を乳がん検診のメニューの一つとして導入しています。エコー検査はマンモグラフィと異なり「痛くない」というメリットもあり、乳がん検診を受ける女性の約4割がエコー検査を行っているという統計もあるほど、エコー検査は乳がん検診の主要な検査方法の一つとなっています。一方、エコー検査は、検査担当者の技量により精度のばらつきが生じてしまう点が課題とされてきました。乳がん検診の精度管理は、日本乳がん検診精度管理中央機構(精中機構)が中心に行なわれていますが、学会でAIを活用した乳がん診断のシンポジウムが多数開催されるなど、AIを活用した精度向上が期待されています。
本プログラムは、慶應義塾大学病院との共同研究を通じて開発した技術をベースに、医師の読影を補助し、見落とし防止を支援することを目的に開発されました。乳がん検診は精密検査を行うべき症例か否かを判断する場であることから、精密検査の必要性が疑われる病変候補部位と、当該病変候補部位を国際的な基準であるBI-RADSカテゴリー分類に基づき判定し、精密検査の必要性の有無を検出します。精密検査の必要性が疑われる所見の検出感度は94.4%であり、また、医師単独で読影した場合の正診率69.3%と比べて、本プログラムを用いて読影した場合は感度73.1%となり、有意な読影精度の向上が認められました。医療用画像管理システム(PACS)と連動して使用する場合は、撮影した画像を本プログラムがシームレスに解析し、その結果をPACSに保存します。医師は、これまでの検診フローを変えることなく、本プログラムによる解析結果をPACSのビューワーで確認しながらセカンドリードでき、より丁寧な読影を行うことができます。