アイラト株式会社(東北大学発スタートアップ)は、高精度放射線治療の品質を管理できる「AI支援放射線治療計画品質管理ソフトウェア」の販売を2023年3月に開始しました。
医師や医学物理士の臨床知見と独自のAI技術を融合させることで、患者ごとに国内の治療計画ポリシーにフィットした高精度なお手本線量分布を作成することができるようになりました。これにより、各医療機関は自施設の治療計画の品質管理を行うことができるようになり、高精度放射線治療の治療計画の品質向上に寄与できることが期待されます。
国際がん研究機関は、 2020 年~ 2040 年の間でがんの患者数は 50% 増加し、全がん患者の半数以上が放射線治療を行うと予測しています。 これに合わせるかたちで放射線療法の技術も進歩しており、近年では従来法より高い治療効果を発揮する強度変調放射線治療( IMRT )が普及してきています。IMRT は従来の放射線療法より生存率が高く、副作用の発生も低減できる技術であり、すなわち1/3 は働きながら治療を続けるといわれるがん患者の QOL 向上に大きく寄与できると期待されています。一方で 、国内の30の医療機関へのヒアリング及び日本放射線腫瘍学会の研究班の報告などから、IMRTには放射線治療計画の品質のばらつきの問題があることが指摘され、解決が望まれています。そこで、アイラト株式会社は東北大学発スタートアップとしてNEDO(共同研究先:山梨大学や東北大学)からの支援を受けて、国内のHigh Volume Centerの臨床知見や高品質な治療計画データを学習したAIを用いることで、この「治療計画の品質のばらつき」といった臨床現場の課題を解決できると考え、本製品を開発しました。
「AI支援放射線治療計画品質管理ソフトウェア」の主な特長
1. 国内のhigh volume centerの臨床知見+学習データ+独自のAI を活用し、高品質なお手本となる線量分布を提供
2. 前立腺癌、頭頚部癌、肺癌、子宮頸癌に対応(国内のメジャー臨床プロトコルに対応(JCOGなど))
3. IMRTの治療計画の教育用ソフトウェアとしても利用可能