てんかんの定位的深部電極挿入術、脳腫瘍生検術に
日本メドトロニック株式会社(以下、日本メドトロニック)は、てんかんの定位的深部電極挿入術および脳腫瘍生検術に用いるロボティックシステム「脳神経外科手術用ナビゲーションユニット ステルス」(以下、ステルス Autoguide)の製造販売承認を取得し、2021年2月1日より保険適用されたことを発表しました。
脳神経外科領域への手術支援ロボットの導入により、患者にとって安全かつ負担が少なく、より精度の高い手術手技を提供することを目指します。
ステルス Autoguideは、てんかん治療の外科手術の際、術前に作成した手術計画に基づき、ステルスステーションナビゲーションシステムと連動することで、高い精度が求められる電極を挿入する位置と脳深部の測定位置という両方の位置合わせをロボット制御により自動で行います。
これにより、多数の深部電極をより短時間かつ高い精度で挿入することができるようになり、大きな侵襲である開頭で硬膜下電極留置することに代替できることが期待されます。
多数の電極を高い精度で留置、患者への負担も少ない
てんかんの治療法には薬物療法と外科療法があり、薬物療法で発作が抑制されない難治性てんかんに対して、外科手術による治療が検討されます。外科治療の対象となるのは、発作の始まる部分(焦点)が特定できる、側頭葉てんかん等の部分てんかんで、かつその部分を切除しても障害が残らない場合で、こうした場合に焦点切除が可能となります。
焦点切除を行うには、焦点を正確に同定する必要があり、焦点を同定するための検査として硬膜下電極留置が広く行われていますが、開頭を伴うため患者の身体的負担が大きいことに加えて、脳の深部領域の測定が困難でした。
その他に脳深部に挿入した電極からてんかん波をとらえる定位的深部電極挿入術(sEEG)という手法もありますが、正確な同定には 10~24 本の電極を挿入することが必要と考えられており、現状においては手術時間が10 時間を超えることがあるため、国内ではほとんど実施されていませんでした。
こうした現状に対し、ステルス Autoguideの支援によるsEEGを行うことで、多数の電極をより短時間で正確に留置することが可能となり、また、患者への負担が少ないために留置術翌日から脳波記録が開始できるという利点も提供できます。
さらに、ステルス Autoguideでは、脳腫瘍の治療方針を決定するために、画像検査での診断をもとに、腫瘍組織そのものを生検針で採取し、脳腫瘍の種類や悪性度を詳しく診断する脳腫瘍生検術にも保険が適用されます。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
日本メドトロニック株式会社 プレスリリース
https://www.medtronic.com/