医療機器

アボット、国内初となる心房と心室に留置するデュアルチャンバのリードレスペースメーカ「AVEIR™ DRシステム」の薬事承認を取得、心房と心室両方のセンシングとペーシングが可能に

アボットメディカルジャパン合同会社 (本社:東京都港区、代表執行役員社長:千田 真弓、以下「アボット」)は、徐脈性不整脈の治療に用いられるリードレスペースメーカ「AVEIR™(アヴェイル)」の製造販売承認について、2024年9月27日に厚生労働省から一部変更承認を取得したことを発表しました。

ペースメーカの適応となる徐脈性不整脈の原因として、主に房室ブロック、洞不全症候群、徐脈性心房細動といった3つの病態があげられます。日本国内におけるペースメーカ適応患者数は年間約4.6万人で、洞不全症候群と房室ブロックがその8割以上を占めるとされます。ペースメーカ治療では、患者さんの病態に応じてリードと呼ばれる電極を心房と心室それぞれに、または両方に留置します。また、患者の心拍をより精緻に適切に管理するには、心臓の自然な電気活動を感知する「センシング」と心臓に電気刺激を与えて心拍を促す「ペーシング」を適切に設定することが必要です。洞不全症候群や房室ブロックの患者の場合は、心房と心室の両方にリードを留置し、センシングとペーシングの両方を行うデュアルチャンバのペースメーカ(DDDモード)を使用することが一般的です。

近年では、リードがデバイス本体に一体化されたリードレスペースメーカの技術が登場し、患者の体への負担や合併症リスクの低減等が実現しています。一方で、アボットが2022年12月に提供を開始した心室に留置するリードレスペースメーカAVEIR VRは心室用であり、適応となる患者さんは主に徐脈性心房細動に限られていました。

アボットが今回新たに承認を取得したAVEIR DRシステムでは、新機種として追加された心房用リードレスペースメーカAVEIR ARと、既存の心室用リードレスペースメーカAVEIR VRを同時に植込むことで、心房と心室を生理的に同期させたデュアルチャンバのリードレスペースメーカ治療を提供します。AVEIR ARは、国内初となる、心房に留置してセンシングとペーシングの両方を行うことが可能なリードレスペースメーカです。2本のデバイスは、アボット独自の通信技術「i2i™テクノロジー」によって心拍ごとに通信を交わし、精緻に連動されます。

さらにAVEIRは、患者の病態に応じた治療の選択肢(心房または心室への単独デバイス植込み、心房・心室の同時植込み)を柔軟に提供するために、単独デバイスでの治療後にもう片方のデバイス植込みによる追加治療(アップグレード)を行うことが可能なシステムになっています。具体的には、当初は心房のみ、または心室のみに単体でデバイスを植込んだ患者に対しても、後から追加でもう一方のデバイスを植込み、AVEIR DRシステムに変更することが可能です。

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